乗法定理と事象の独立性

条件付確率と関連の深い概念として、乗法の定理と、事象の独立性があります。まずは、乗法の定理をみてみましょう。

乗法の定理 (multiplication theorem)

条件付確率の公式を変形することにより、乗法の定理の公式を得ることができます。

[latex size=2]\displaystyle P(A\cap B)=P(B)P(A|B)=P(A)P(B|A)[/latex]

 

ここで、[latex]P(A|B)[/latex]は条件付確率で、事象[latex]B[/latex]が起きたという条件の下で、事象[latex]A[/latex]が起こる確率を表します。

乗法の定理と条件付確率はほとんど裏表の一体の関係にあることに注意したいですね。乗法の定理と条件付確率は、単に分母を払っただけの関係です。

 

事象の独立性 (independence of events)

事象[latex]B[/latex]が起きるか否かによらずに、事象[latex]A[/latex]の起こる確率が変わらないとき、事象[latex]A[/latex]と事象[latex]B[/latex]は独立と言います。これを式で表すと次のようになります。

[latex size=2]\displaystyle P(A|B)=P(A)[/latex]

 

上式は、事象[latex]A[/latex]と事象[latex]B[/latex]を入れ替えても等価です。

また、乗法の定理を用いると、前式は次のように書き換えることができます。なので次の式が成り立つ時に、2つの事象の独立であるということができます。

[latex size=2]\displaystyle P(A\cap B)=P(B)P(B)[/latex]

 

まとめると、2つの事象が独立であるとは、それぞれの事象の起こる確率が、他方の事象が起こるか起こらないかに無関係であるということです。逆にもし、ある事象が起こることが、他方の事象が起こる確率に影響があるときは、2つの事象が独立ではありません。

 

事象の独立性の例

例を見てみましょう。(例1)は、2つの事象が独立ではない例です。(例2)は、2つの事象が独立な例です。

 

(例1)ジョーカー入りのトランプ(独立ではない例)

ジョーカー入りのトランプ53枚から1枚のカードを抜いたとき、そのカードがハートである事象[latex]A[/latex]と、そのカードが「5」である事象[latex]B[/latex]が独立であるかどうかを調べる。抜いたカードがハートである事象を[latex]B[/latex]とし、「5」である事象を[latex]A[/latex]とすると、以下のようになる。

[latex size=2]\displaystyle P(A\cap B)=\frac{1}{53}[/latex]

 

[latex size=2]\displaystyle P(A)P(B)=\frac{13\times 4}{53\times 53}[/latex]

 

よって、[latex]P(A\cap B)=P(A)P(B)[/latex]なので、事象[latex]A[/latex]と事象[latex]B[/latex]は独立ではありません。

(例2)ジョーカー抜きのトランプ(独立な例)

例1の問題で、ジョーカーなしのトランプ52枚の場合はどうなるでしょうか?独立性の判定のために次のように計算します。

[latex size=2]\displaystyle P(A\cap B)=\frac{1}{52}[/latex]

 

[latex size=2]\displaystyle P(A)P(B)=\frac{13\times 4}{52\times 52}=\frac{1}{52}[/latex]

 

よって、[latex]P(A\cap B)\neq P(A)P(B)[/latex]なので、事象[latex]A[/latex]と事象[latex]B[/latex]は独立となります。

 
(コメント)(例1)と(例2)を見比べると、違いはトランプにジョーカーが入っているか入っていないかだけの違いですね。このジョーカーによって、2つ事象が独立であるかどうかが異なってきます(^^)