厳しいポスドク(博士研究員)の世界

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研究者になるためのポスドク(ポストドクトラルフェロー、博士研究員)の実態についてお話ししたいと思います。これから大学院に行く方や、研究者を目指す方は必見です。

 

まずポスドクとは何かを説明しましょう。ポスドクとは、博士課程を修了してから、大学や研究機関の正規職を得るまでの、短期間の契約研究員のことです。契約期間は一年から三年ぐらいが多いです。一人前の研究者になるための修行期間と位置付けられています。

 

ポスドクのことを良く知るために、研究者になるまでのキャリアパスについて知っておく必要があります。研究者になるのに一般的なパスは次の通りです。

 

まず。大学を出た後に、大学院の修士課程二年間過ごし、その後に博士課程三年間を修了します。博士課程のうちに学術論文を数本書き、それが認められれば博士課程修了と同時に博士号をもらえます。

 

博士号を貰い損ねると、肩書き的には博士課程満期修了ということになります。昔の文系は、博士号を出さない傾向にあったので、博士号無しで博士課程満期修了という人が多かったですが、最近は文系ても積極的に博士号を出しているようです。

 

博士号を貰うまでには、大学4年間、修士課程2年間、博士課程3年間通う必要がありますので、トータルで9年間大学にいることになります。すると最短でも、博士号を貰う頃には27才から28才になっています。家が裕福でないとなかなか9年間も学生生活はできませんね。。。

 

もうそろそろいい年齢だから、さあ就職するかという感じですが、ここから先が大変です。

 

博士課程までいったんだからと言うことで、どこかの大学や研究機関に就職しようとしても、博士号とったばかり人を研究職の正規ポジションで受け入れてくれるところはほぼ皆無です。

 

このステージで、次の進路になるのが、いわゆるポスドクや、任期付助教というポジションです。どちらかというと、任期付助教の方がハードルが高いので、ポスドクについて説明します。

 

ポスドクは任期付研究員で、多くの場合期限付きの競争的研究資金から雇われています。なので、どんなに研究成果をあげても、研究資金の期限が切れれば次の契約はありません。

 

雇い側も、引き続き雇いたくても資金の期限が切れてしまったので、それは無理なわけです。最近では、特任助教や、特任准教授、特任教授など期限付きの競争的資金で雇われている教員も多いです。特任教授と教授の肩書きはありますが、雇用実態はポスドクとあまり変わらず契約社員という感じです。

 

では誰がポスドクを雇っているのでしょうか?

 

もちろん形式的には、大学や研究機関が雇っているのですが、実態とは少し違います。実態としては、大学や研究機関に属している常勤の研究者(教授や常勤研究員)が、獲得した競争的資金を利用して雇用しています。

 

大学や研究機関の常勤研究者は、文科省などに申請して競争的資金を獲得します。たいていの場合3から5年間くらいの期間で資金が提供されることが多いです。このような資金で雇われるのがポスドクなのです。なので、実質的にポスドクを雇っているのは国の研究資金を得た常勤研究者(この人がボスになります。)です。

 

このように雇われたポスドクには制度的に問題があります。まず明らかな問題としては、給料の出所がその雇われた大学や研究機関の予算ではなく、特定の常勤研究者が獲得した期限付き競争的資金から出ているということです。そのために競争的資金の期限を超えて雇い続けることが出来ません。任期付になるしか無い訳です。

 

雇う側のメリットとしては、ある程度の研究力のあるポスドクを雇うことにより自分の研究成果が向上することが期待出来ます。ただし、雇ったポスドクに対して将来のキャリアパスまで考えてあげるのは雇い入れの制度からして難しいです。

 

つまり雇い側からすると、ポスドクの任期が終わった後に、何かの保証するのは難しいわけです。せいぜい別の競争的資金を獲得して再度雇うか、別の就職先の相談をすることくらいしかできることはありません。

 

この辺が雇われている大学や研究機関の予算ではなく、競争的資金で雇われているポスドクの不利な点と言えるでしょう。

 

ポスドクはもともとは欧米の制度で、30年程前にはそのような制度はありませんでした。その当時は博士課程もあまり一般的ではなく修士課程を終わったら、すぐに定年まで働ける助手(今でいう助教)に採用されるのが普通でした。

 

その当時は、研究者という仕事ほ今よりもずっと普通の仕事という感じですね。残念ながら現在では研究者という仕事は、プロスポーツ選手みたいな不安定な仕事になってしまいました。

 

もともと欧米では、他の仕事も転職や解雇が良くあり、日本ほど雇用が守られているわけではありません。なので、欧米においてはポスドク制度も違和感が無いのですが、またまだ、終身雇用が一般的な日本にポスドク制度が導入されて、いろいろな歪みが出てきました。ある意味、一番弱い立場にあるポスドクにその歪みのしわ寄せがきているということが言えると思います。

 

さて20代の後半から30年の間ポスドクをしている間に、常勤研究職を手に入れる必要があります。いわゆるパーマネントポジションです。残念ながら、至難の技と言うしかありません。どれくらい難しいかと言うのは分野にもよるので一概には言えませんが、実力とともに運や営業力も必要になってきます。

 

40代のポスドクも平気でいますので、なんとも厳しい世界です。

 

続きはまた。。。

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